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まきゴケ用の苔の種(タネ)は、なぜ苔を乾燥させた上に粉砕してつくるのか?

      2016/03/18

 
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最近ネット通販などでも手に入れることができる苔マットなどは、人工生産によるものもだいぶ増えてきました。まだ苔の人工栽培については技術が確立されていませんが、苔のタネをまいて増やす「まきゴケ法」によって少量の苔から多くの苔を生産することができています。

これまで私も「苔の育成レポート」シリーズで紹介している通り、このまきゴケ法でいくつかの種類の苔を育ててきました。また、別記事「蒔きゴケ(まきゴケ)用の「苔の種」の作り方」で、自宅での苔のタネの作り方もご紹介してきました。苔の種の作り方として、「苔を1週間ほど天日で乾燥させ、細かく粉砕する」とありますが、実のところなぜそうするかについてはよくわかっていませんでした。

今回は、苔の種をつくるとき「なぜ一旦乾燥させてから、さらに粉砕するのか?」がテーマです。

苔の種をつくる時、一旦乾燥させてから粉砕する理由

生ゴケ(乾燥させていない状態)をほぐして蒔いても苔を増やすことは可能です。ではなぜ、市販されている苔の種やまきゴケ法による人工生産を行っている現場では、苔をわざわざ乾燥させ、細かく粉砕したものを使っているのか?という疑問がわきますよね。そこで私は、乾燥の有無・粉砕の有無で発芽や育ち方にどのような差が出るのかおよそ1年間かけてレポートしてきました。
→参考)苔の育成レポート スナゴケ・ハイゴケの増やし方① 20150320
DSC_1108

1年間の観察の結果

「苔を乾燥させてから粉砕した苔のタネ」「乾燥させてほぐしただけの苔のタネ」「生ゴケをほぐしただけの苔のタネ」の3種類を同じ環境下において観察したところ、

乾燥させた方が、生ゴケよりも発芽・発芽直後の生長がはやい

という結果が得られました。
さらに、

細かく粉砕した方が、ただほぐしただけの苔より均質に発芽・生長する

と言えそうだということがわかりました。

つまりまとめると、
苔は乾燥させてから蒔いた方が発芽させやすい。
細かく粉砕させた方が、より少量の苔から均質に増やすことができる
というのが私なりの考察でした。
実は私のこのレポートに対し、私も尊敬して止まない苔神工房の苔神こと北川義一氏からコメントをいただき、私の考察はほぼ合っているという前置きに続き、補足的なアドバイスをくださいました。
苔神 北川氏の研究によると、
乾燥させることで発芽率が上がる。
粉砕することで発芽数が増える。
ただし、発芽数が増えると生長速度が遅くなる。
とのこと。さすが、実に明快です。3点目の生長速度が遅くなる、というのは「なるほど!」という感じですね。発芽数が増えるということは、それだけ発芽にエネルギーを使うわけですから、その後の生長スピードが遅くなるのかもしれません。
話が前後しますが、一定期間以上乾燥させるというひと手間を加えるのは、乾燥という苔にとって過酷な状態にさらすことにより、『このままでは我々は絶えてしまう!』という危機感(感情はないでしょうけど)を覚えさせ、繁殖旺盛な状態にスイッチを入れるためと考えられます。

育てる・増やすスタイルに合わせて苔の種を使い分ける

これまで述べたことから、苔をどう育てたいか・増やしたいかによって苔の種の作り方を変えることができそうですね。

気長にきれいに苔を育てたい場合や、より少量の苔から広範囲に蒔きたい場合

・乾燥+粉砕 した苔の種を使う
→苔をあまり多量に入手できない人や、広範囲の苔庭づくりの時などに適していそうです。

少しでも早く苔を増やしたい場合

・乾燥させてほぐすだけ、あるいは、軽く粉砕
→発芽率は高く維持しつつ、できるだけ早く生長させてモスグリーンに覆われた状態にしたい場合に有効でしょう。ただし、細かく粉砕する場合に比べて、同じ面積の場合はより多くの苔が必要となります。

ぜひあなたのスタイルにあった苔の種をつくってみてください!

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