【苔の植え方】スギゴケマットの貼り方(はりゴケ法の手順)
2016/03/05
知り合いの農家さんの畑のすみっこに杉苔の群生があったのですが、来年の春前には耕してしまうと聞いたので採取させてほしいとお願いをしました。「好きなだけ持っていっていいよ」と快くOKをいただきましたので、1平米分くらい採取させていただきました。よく考えればまだ「貼りゴケ法」の具体的な手順についての記事をあげたことがなかったので、今回手に入れた杉苔を利用して貼りゴケ法の手順をご紹介したいと思います。
まず大前提ですが、皆さんがスギゴケを庭などに植えつける場合、採取した天然のスギゴケや地植えのスギゴケを利用することはおすすめいたしません。なぜなら、採取する時に土壌を漉き取る形になるので、その際にスギゴケの仮根を切ってしまったり痛めたりすることがあるため、せっかく植えつけても新芽が発芽せずやがて消えてなくなってしまう可能性もあるからです。
スギゴケに限らず、苔は人工生産の技術が確立されつつあり、ネット通販でもマット状の苔商品が多く流通しているので良質な苔マットも簡単に手に入ります。購入する際には育苗箱などで育てられた苔のマットを選ぶようにしてください。地植えで生産されたものは前述の理由からあまりおすすめいたしません。(参考→ 初心者でも失敗しない、市販の苔の選び方)
もし天然の杉苔を手に入れる機会があれば、貼りゴケ法よりも蒔きゴケ法の種として利用すると良いと思います。もしくはある程度伸びた段階で刈込みをして新芽の発芽を促すのも手です。
はりゴケ法によるスギゴケの植えつけ手順
植えつけ場所を決める
植えつけを丁寧に正しいやり方で行うことも大事ですが、とにもかくにも植えつけ環境が重要です。日照条件、湿度条件(風があまり通らない場所)などよく考えて選びます。必ずしも、杉苔を植えたい場所が杉苔にとって適切な環境とは限らないので注意しましょう。環境が合わなければ、よほどしっかりした管理でカバーしなければ、たいてい衰退していきます。
苔の植えつけに関する基本は別記事「苔を育てるために押さえておきたいポイント」を参考にしてください。
今回植えつけるのは↓ココです。
もともとスナゴケを植えていましたが、この記事を書くためにもともとあったスナゴケを別の場所へ移植しました。御影石のタイルと苔で市松模様を描く、和モダンの外構で割とよく見られる手法です。
具体的なスギゴケの貼り付け手順
では、実際に貼っていく手順を写真付きで紹介していきます。
準備物
・スギゴケマット(今回は苔マットではありませんが)
・川砂
・赤玉土
・軍手
・スコップ
・土ふるい
・左官用のコテ(あれば)
貼りゴケ手順 STEP1:土壌を整える
もし庭の一部に植えつけるのであれば、杉苔が育ちやすいように適宜土壌改良をしてあげる必要があります。礫質(れきしつ)で大粒の小石がごろごろしている場合ではない限り、もともとの庭土に川砂をまぜて水はけをよくすればだいたいOKです。もともと砂質気味で水はけが良すぎる場合は、黒土や赤玉を混ぜ込んで保水性を高めましょう。
今回植えつける場所は、スナゴケを移植する際にだいぶ土量が減ったので川砂にプラスして赤玉小粒を同量混ぜ足しました。この時、雑草の根や枯れ葉が混ざっていたらできるだけ取り除くようにしましょう。
新たに土壌づくりをされる方は「苔栽培の培養土のつくり方〜基本編〜」をご参照ください。
▼川砂を混ぜ込んで水はけをよくします。
↓
▼コテやスコップで平らにならします。
↓
▼植えつけ場所の整備が完了。
(お役立ちリンク)日本最大級のガーデンサイト!【日本花卉ガーデンセンター本店】
貼りゴケ手順 STEP2:苔マットを配置する
苔の植えつけの際には必ず軍手などをつけましょう。人間の脂が苔を痛めるという説もあるので。。
▼苔マットを用意する。今回ははさみとスコップで無理やりマットっぽく四角にしてみました。
↓
▼苔マットを配置する。
苔マットは隙間なく敷き詰めても良いですが、できれば写真のように隙間を開けて後で行う目土がしやすいようにしておく方が良いと思います。きちんと植えつけができれば、隙間部分も苔で埋まっていきます。
貼りゴケ手順 STEP3:目土入れをする
基本的には川砂でいいと思いますが、今回は密度の高いマットではないので赤玉も混ぜて目土入れをしました。特に苔同士の隙間や端っこはきっちり目土入れしないと乾燥が進んで弱ってしまいますので丁寧にしましょう。
▼まず隙間やスギゴケマットの端っこににしっかりと目土入れします。
↓
▼全体的にふるいを使って目土入れをします。
貼りゴケ手順 STEP4:散水する
散水することで目土が隙間や苔の間に入り込んでいきます。目土の量が多すぎて苔が隠れたままになってしまうようだと、窒息したり生育を阻害してしまうことがあるので、しっかりと苔の間に入りこませることと、苔の上に目土が大量に残るようであれば取り除きましょう。
また、ホースで散水する場合一般的な「シャワー」だと水圧が強すぎることがあります。「キリ」という文字通り霧状の放水ができるタイプのシャワーヘッドであれば「キリ」モードにしましょう。「キリ」モードがない場合は蛇口をひねって水圧を弱めましょう。
▼散水はやさしい「キリ」モードで。
↓
▼一旦全体に散水できたら、コテやスコップで押さえて苔マットをしっかり土壌に密着させ、再度散水する。
※写真撮り忘れました!
↓
▼散水完了。隙間も埋まりました。
▼苔の根元までしっかりと目土が入っています。
以上でスギゴケのはりゴケが完了です!定着するまで、植えつけてから1~2ヶ月の間は毎日朝か夕方にたっぷり水をまいてあげましょう。日中日の当たる時間の水やりは蒸れを起こす原因になるので絶対NGです!
【苔の植えつけに関するおすすめ記事】
●苔を育てるために押さえておきたいポイント
●苔に肥料は必要なの?
●初心者でも失敗しない、市販の苔の選び方
●苔庭の目土入れをおすすめする理由
●苔栽培の培養土のつくり方〜基本編〜
●苔の種類ごとのおすすめ培養土
●苔の育成レポート 杉苔編
●苔の育成レポート スナゴケ・ハイゴケ編
お探しの情報へはサイトマップから!
|
|