【苔の図鑑】スナゴケとは（砂苔、ギボウシゴケ科）

2015/04/26 2016/03/05

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スナゴケ（砂苔）の基本データ

■種類：スナゴケ（スナゴケ／エゾスナゴケ）
■分類：シモフリゴケ属 < ギボウシゴケ科 < シッポゴケ目 < マゴケ網 < マゴケ植物門 ■分布：九州～北海道、極東ロシアなど ■場所：低地～高山の明るく日の当たる砂質土や岩の上 ■仲間：ハイスナゴケ、コバノスナゴケ
■特徴：淡い緑。茎高は3～5cmで直立または斜立し、細かな葉が密に並ぶ。

雨上がりには「満天の星」のように葉を広げる美しい苔

私が苔に興味を持ち始めて色々身近な苔を観察していた時に、一番「美しい！」と感じたのがこのスナゴケです。苔は日陰のジメジメしたところに生えるイメージがある中、スナゴケは日がよく当たる駐車場にどうどうと群生をつくっており、雨上がりに見たときは小さな星がたくさん集まったような美しくも迫力があるスナゴケに魅了されました。
コロニーを形成するととても蜜になるため、苔園芸においては苔玉などにも利用されますが、おそらく何も知識がない方がスナゴケの苔玉を買っても数週間～数か月で苔の変色に合い悩んでいることでしょう。それは日照の問題です。日光を好むスナゴケを室内で管理しようとするためで、スナゴケの苔玉を置くのであればレース越しに日が入るような明るい窓際などがベストです。
苔庭でも、以前は何かとスギゴケばかりが注目されていましたが、スナゴケの美しさと乾燥に対する強さが徐々に人気の火を生み、明るい苔庭にスナゴケを採用する例もずいぶん増えてきました。
私も個人的に、個人宅でDIYで苔庭づくりをするならばこのスナゴケを一押しします。もちろん、半日蔭～全日照という条件の場所に、です。

スナゴケを苔庭におすすめする理由

貼りゴケでも蒔きゴケでも増やしやすく、乾燥にとても強いのでほとんど手間をかけずにモスグリーンの庭にしてくれます。広い範囲を苔で覆いたい場合は蒔きゴケがおすすめで、スナゴケは生育速度が比較的早いのでスギゴケに比べると随分早く地表を緑色にしてくれます。適度な水はけと保水性が土壌に確保できていれば、基本的に降雨で十分です。蒔きゴケした直後は夕方陽が暮れる時間あたりに毎日水をあげれば、春や秋なら2週間もすれば新芽が出ます。
ただ一方で、日中日が当たる時間帯は乾燥に耐えるため縮こまって枯れたようになるので、晴れた日の昼間はあまり見栄えがよくありません(笑)。でもそんな時に決して水をあげてはいけません。蒸れを起こしてしまいます。日が当たらなくなってから水をあげるか、雨が降るのを待ちましょう。枯れたように見えているだけでそう簡単には枯れませんので、過保護に水やりするのは逆効果です。
スナゴケは3～5cmくらいまで生長したらほとんどそれ以上伸びないため、スギゴケのように刈込みをしなくても倒状現象などを起こす心配がありません。本当に手間がかかりにくい代表格だと思います。

一点注意しないといけないのは、スナゴケは仮根がほとんど発達せず土壌への接着力が弱い苔です。特に乾燥している時などは、ちょっと撫でただけで剥がれてしまうくらいですので、落ち葉掃除や草引きの時は十分注意しましょう。できれば雨上がりの後などスナゴケが水を含んでいる状態で作業を行うようにし、かつ、苔がはがれないように丁寧に作業をしましょう。