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苔の目土入れをおすすめする理由

      2016/03/05

 
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苔庭に限らず、芝庭でも「目土入れ」という工程があります。過去の記事の中でもたびたびこの目土入れについて触れてきました。今回は一体なぜ目土入れをする必要があるのか、その目的についてご説明します。

苔目土を入れるタイミング

苔庭作りにおいて目土入れを行うのは大きく分けると、
①苔の植え付け時
②管理上定期的に行う(人によっては不定期)
の2つです。植え付け時に目土入れを行うことは比較的イメージできる人は多いと思いますが、管理上追加で目土入れを実際に行っている人は少ないのではないでしょうか。
すでに管理上の目土入れを実践されている方も、この機会にその目的の整理に参考になれば幸いです。

植え付け時の目土入れと主な目的

植え付け時の目土の入れ方

貼りゴケ法にしろ、蒔きゴケ法にしろ植え付け時に苔の上から及び苔のマット同士の隙間に目土入れをします。目土の配合は苔の種類によって変わってきますが、大雑把に言うと川砂と黒土を混ぜたものか、加湿を嫌う苔には川砂のみで目土入れをします。
目土は必ず乾燥させたものを使ってください。水分を含んでいるとダマになったり、目土をブレンドする時に均等に混ざらない場合があります。また、目土が苔の隙間に入り込みにくくなり、そのまま苔が目土を被ったままだと窒息したり光合成できずに弱ってしまう可能性が出てきます。

植え付け時の目土入れの目的

主な目的は下記の2点です。
1.定着の促進
2.乾燥から守る

定着の促進

定着の促進とは、言い換えると土壌への固定を意味します。
苔を植え付ける時に苔を土壌に密着させることは鉄則ですが、苔を土壌に押し当てるだけでは不十分です。水やりをすると土壌と苔が一体化したように見えるのですが、乾燥してくるとたいがいきれいに剥がれます。
植え付けた後に雨や風で苔が動くといつまでたっても定着しません。目土を入れることで目土が重しになり、苔の根元の目土が土壌との密着性を高めることで苔が動きにくくなります。
重し代わりという部分では川砂や小粒の軽石でもいいと思いますが、密着性を高めるという部分も考えると目土のベースは植え付ける土壌(培養土)と同じ配合のものがベストだと考えています。

乾燥から守る

市販の苔シートを購入した場合、多くが発芽後1年も経っておらず苔密度(コロニー)が未成熟な状態です。つまり苔と苔の間がスカスカでよほど湿度が安定しているところでないと、乾燥しやすいと言えます。保水性のある黒土などを混ぜた苔目土を入れてやることで根元から茎にかけて乾燥から守ることができます。空気の乾燥からだけでなく、日光による乾燥も緩和します。

植え付け後の管理の目土入れと主な目的

管理上の目土の入れ方

植え付け後、最初の数年は年に1度くらい追い目土をしてやることをおすすめします。目土のやり方と注意点は基本的には植え付け時と同じですが、スギゴケやスナゴケは乾燥して葉が縮れている時に目土入れをすることで根元に入り込みやすくなります。近いうちに降雨が見込まれるなら特に水をやらなくてかまいません。晴天が続きそうでしたら、目土入れのあとにたっぷり水やりをしましょう。ただし、決して日の当たる日中には水やりをしないでくださいね。苔が蒸れ、葉焼けを起こしてしまいます。
目土の量と入れる箇所は苔の状態をよく観察してからにしましょう。スギゴケなど直立型の苔で、根元に新芽が見られる場合あまり多くの目土を入れるとせっかくの新芽を窒息させてしまうことがあります。

管理上の目土入れの目的

管理上の目土入れには、植え付け時と同じ2つの目的の他、さらに下記2点の目的があります。
1.地力を高める・維持する ※特にスギゴケ科の苔
2.流された土を補充する

地力を高める・維持する

スギゴケ、タチゴケ、コスギゴケなど仮根(かこん)を持つ苔にはこれが1番大きい目土の役割だと考えています。「地力ある」とは、苔が「新芽を発芽しやすい土壌環境である」ことを指します。土は、最初はふかふかでも、水やりや乾燥を繰り返しているうちにしまってくる(固くなる)ことがあります。しまった土壌は仮根を発達させにくくし、新芽の発芽を阻害してしまいます。根元に柔らかく通気性のある目土を入れることによって新芽の発芽を促します。
厄介なのは貼り付けた苔シート(苔マット)の基盤が粘土質だったり黒土のみだったりすると特に基盤がしまりやすい傾向があることです。場合によっては、かちこちに固まった基盤によって仮根が死んでしまうこともあります。こういうタイプの杉苔シートを貼り付けた後1〜2年で衰退していくことが多いのは新芽が出ないためというケースが多いのです。目土しても基盤自体を柔らかくすることはできませんが、意味がないわけではありません。『苔の種』を追い蒔き(後から蒔きゴケすること)することにより、目土を土壌に新芽を発芽させ、新しい世代でコロニーを発達させていくことが可能になります。
もし、植えつけた苔の根元に新芽があまり確認できないようでしたら、苔の種の追い蒔きをしてみてください。

流された土を補充する

近年異常気象のためか、地域によってはよくゲリラ豪雨に見舞われます。どんなに水はけが良い土壌でも水の吸収が追い付かず、雨水が溜まって地表を覆ってしまう光景をよく見ます。何度か繰り返すうちにどうしても土壌は洗い流され目減りしていきます。勾配があるとなおさらです。スギゴケは苔の根元が露出し、乾燥が進みます。スナゴケやハイゴケなど仮根をもたない(もしくはあまり発達しない)苔は土壌に固定している力をますます奪われ、風が吹いただけで土壌から剥がれてしまうこともあります。ですので定期的に追い目土をする必要があります。
私は目土入れを年に1回することを基本としていますが、大雨で地表にだいぶ水がたまった時は、水が引けてから追い目土をするようにしています。雨後の追い目土の時には、ブレンドする川砂を少な目にするか、ほとんど混ぜないこともあります。砂は重いので、黒土などに比べると水に流されにくく、土壌に留まっている割合が高いため、目土入れの度に川砂を補充すると大雨が降るたびに川砂がどんどん苔の根元に蓄積してしまいます。土壌に保水性も確保するためのバランスも大事です。

目土についてのまとめ

◎目土入れのタイミングは「植えつけ時」「年に一度(定期的)」、そして「大雨で土が流された後」
◎目土入れの目的は「苔を土壌に固定する」「乾燥から守る」「新芽を発芽させる地力を高める」「雨などで流された土を補充する」

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