コウヤノマンネングサの増やし方《室内管理》
コウヤノマンネングサ(高野の万年草、高野之万年草)は、苔園芸でもテラリウムなどによく用いられる大型の苔です。「草」とつきますし、見た目も苔っぽくありませんが、コウヤノマンネングサ属コウヤノマンネングザ科のれっきとした苔です。別に「(コウヤノ)マンネンゴケ」とも呼ばれています。
苔の植えつけ・増やす方法としては「まきゴケ法」や「はりゴケ法」が一般的ですが、コウヤノマンネングサは「移植法」と呼ばれる方法が最も増やすのに適しています。
今回は、このコウヤノマンネングサを室内で増やすために、「移植法」で植えつける手順をご紹介します。
コウヤノマンネングサの植えつけ方
コウヤノマンネングサは乾燥に非常に弱いため、安定した湿度の確保には特に注意する必要があります。したがって、スギゴケやハイゴケ、スナゴケなどに比べると、日本の一般的な住宅の庭に植えつけて増やすのは非常に難しいでしょう。
地下茎からの発芽を利用する「移植法」で増やす
コウヤノマンネングサは、地下茎を土中に這わせ、地下茎から新芽を出し個体を増やしていきます。この性質を利用するには「移植法」が最適です。地下茎がしっかりついたコウヤノマンネングサを土壌に植えつけます。ただ、移植法で植えつけたコウヤノマンネングサはたいがいしばらくすると変色し枯れたようになっていきます。その代わり、地下茎から新芽(子株)が出てコロニーを形成していきます。つまり、植えつける株は「親株」という位置づけになります。
個体を細かく粉砕して土壌に蒔く「まきゴケ法」でも増やすことができるという情報もありますが、かなりの時間と手間を要するようです。
今回は室内(屋内)でコウヤノマンネングサを増やすやり方を紹介していきます。室内で管理するのであれば、特に時期を問わずいつでも植え付け可能です。
準備するもの
別記事の「土を使わない苔テラリウム」でも実践した通り、室内ですから衛生面を考慮して土を使いません。基盤にはハイドロカルチャーで用いられる園芸用の人工石と乾燥ミズゴケを使用します。以下にあげる準備物は、コウヤノマンネングサの生体以外は全て100均で手に入ります。
◎蓋付の透明な容器
◎ハイドロカルチャー用のハイドロコーンやゼオライトなど(小粒のものを選ぶ)
◎乾燥水ゴケ
◎コウヤノマンネングサ(地下茎までしっかりついているもの)
蓋付の容器にすることで、過剰な水分蒸発を防ぎ、容器内の湿度を保ちやすくなります。水やりの回数を減らすことにもつながるので蓋付を選びましょう。ただ、完全密閉型(蓋の部分にシリコンなどのパーツがついている)のままだと使えませんので、私はそのパーツが取り外せるものを選んでいます。パーツを取り外して、蓋と容器の口の間に適度な隙間をつくることができます。もしくは、キリなどで用意に穴のあけられるプラスチックやアルミなどの蓋のものを選び、数か所穴を空けて使うのも良いでしょう。
基盤に使うハイドロコーンやゼオライトなどは、使用する前にしっかりと水でゆすいで付着している粉などを取り除いておきましょう。乾燥ミズゴケは一旦水を十分に含ませ、軽くしぼって使います。ミズゴケの繊維が長いようでしたら適宜手でちぎって細かくしておきます。「手順②」でハイドロコーンと混ぜて“芯”をつくるときに、細かくちぎってあるとうまく絡み合うようになります。
手順①:容器の中にハイドロコーンを入れ、中央部に大きなくぼみをつくる
コウヤノマンネングサは地中に立派な地下茎を発達させますので、基盤(土壌にあたる部分)は深めにすることをおすすめします。最低でも4~5cmの厚みはもたせましょう。指などで中央部に大きなくぼみをつくります。ハイドロコーンやゼオライトが乾燥していると、なかなかうまくこのくぼみが作れないので、ハイドロコーンやゼオライトは水を通した状態で入れましょう。
手順②:くぼみ部分に、ミズゴケ+ハイドロコーンをまぜた“芯”を入れる
別のトレイなどで、ハイドロコーン(orゼオライト)とミズゴケを混ぜたもの(=これを私は“芯”と呼んでいます)を用意しておきます。ミズゴケは細かくちぎると混ざりやすくなります。
この芯を適量、先ほど手順①でつくっておいたくぼみの中に適量入れます。
手順③:コウヤノマンネングサを移植する
今回植え付けるコウヤノマンネングサはネット通販で購入しました。
よく見ると地下茎からすでに新芽が出てきています。この新芽が順調に生長してくれるといいですね。
このコウヤノマンエングサを芯の部分に移植します。
この時、できるだけ素手でつかまないようにして、ピンセットなどで生体をつかむようにしましょう。
ポイントは、地下茎だけでなく茎の部分も半分以上見えなくなるくらい深く埋めることです。基盤にねじ込むのではなく、あらかじめピンセットで深い穴をつくっておき、そこにそっとコウヤノマンネングサを挿し込む感じでやるとうまくいきます。挿し込んだらピンセットの先でしっかり埋め戻ししましょう。
私の場合、少々容器の高さが足りずに窮屈になってしまいました。高さにも余裕のある容器を選んだ方が良さそうですね。
これで「移植」は完了です。
手順④:基盤の厚みの4分の1程度まで水を含ませる
最後に水をやります。容器の横から様子をみながら、容器の底から基盤の表面の4分の1程度の高さまで水を入れます。透明の容器を選ぶメリットとして、側面から基盤内の水分量を確認しやすいことがあります。
コウヤノマンネングサの管理
直射日光のあたらない明るい場所に置いて管理します。直射日光があたると容器内の水分が熱せられ蒸れてしまうためです。
水やりは、容器の横からみて基盤内にたまっている水がなくなりそうになったら、また4分の1程度の高さまで入れます。蓋付の容器であれば、水がなくなるまで数週間以上持ちます。
植え付ける親株の状態や室内の温度にもよりますが、順調にいけば1ヶ月程度で新芽が出てきます。
コウヤノマンネングサを探す
近年、苔園芸用に天然のコウヤノマンネングサが乱獲され、個体数が減少しています。ホームセンターなどではなかなか手にはいりませんが、ネット通販で手に入れることは簡単ですので、天然のコウヤノマンネングサをむやみに採取しないようにしましょう。以下に主要なオンラインショッピングモールで「コウヤノマンネングサ」を一発検索できるリンクを貼っておきます。
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