私が苔を好きになった理由
2015/11/07
こんにちは。苔人(こけびと)です。
初記事のテーマとして、そもそも私がどういう経緯で苔の魅力にとりつかれ、苔の世界にどっぷり浸かって行ったのか、完全に私事ですがお話ししたいと思います。
少々長くなりますがご興味が少しでもあればおつきあいください。
とある盆栽園で。
趣味として盆栽を始めたという意味ではないんです。
私が苔の世界に足を踏み入れたのは20代前半の頃でした。当時勤めていた会社で、お世話になっていた先輩が転勤することになり、私はこれまでの感謝の印として何かプレゼントを贈ろうと考えていました。色々探し回っていたある日、たまたま盆栽園の前を通りかかり、別に個人的に盆栽に興味があったわけではないのですが、それまでプレゼント候補に「盆栽」の2文字がなかったので新鮮な感じがしたので盆栽もいいかなと入ってみることにしました。
盆栽って高い!
「なんで樹高が30cmくらいしかないのに数十万円もするのか…。カルチャーショックでした。入り口に入ってすぐのところに並べてある盆栽の値段をみて、どうせ予算内では買えないので、とりあえず一通り見物したら出ようと思っていたところ、盆栽園の主人がぬっと出てきました。イメージ通りおじいちゃんです。「いらっしゃい。おっ、お兄さん若いね。何をお探しだい」
予算はMAX5000円。
「いえ、ただの冷やかしです」 とはさすがに言えず、一応正直に先輩へのプレゼントを探していることを伝えると「予算はどれくらい?」と一番聞かれたくない質問をぐさっと突き刺してくる主人。動揺を隠しきれず「さ、3000円です。ま、MAXでも5000円までです!すみません!」と謝りながら返事をするしかない私。ところが盆栽園の主人は笑いながら「大丈夫、あるよあるよ。ちょっと待っててな」と、奥の小さい盆栽がたくさん並んでいるなかからいくつかピックアップして持ってきてくれました。どれも値段は5000円以内。「これなら買える!」と無意味に小躍りしそうになりました。
あとはこの中から選ぶだけ、のはずだったのですが。。。
苔とカビの区別もつかなかった私。
「全部苔がついちゃってますね。苔のついてない、きれいなやつありませんか?」。当時の私は苔はカビのようなもので、どちらかというと汚いものだというイメージを持っていました。水をあげてるから土が腐ったりして、そこにカビが生えているのと同じように考えていたのです。今でこそ笑い話のようなものですが、けっこう苔のことを詳しく知らない人って、「じめじめしたところや薄暗いところに生えるもの」とか「汚いもの」っていうイメージ持ってる人多くないですか?
それはさておき、私のその発言に盆栽園の主人は大笑い!「おもしろいこと言うねぇ。苔と盆栽は切っても切れない関係なんだよ。なぜなら…」
苔は想像以上に奥深いものらしかった。
盆栽園の主人は暇だったのかどうかわかりませんが、苔はほんとは美しいもの、苔の生え方も盆栽の価値のひとつ、苔を意図的に貼り付けたりなんかする、などなど苔をテーマに30分以上は話してくれたんじゃないでしょうか。不思議と面倒くさくありませんでした。当時の私は社会人になって間もない頃で、新しい知識を得ることや未知の世界をのぞくことに貪欲でしたから(笑)。話の細かいところまで記憶していませんでしたが、自分が汚いものだと思っていた苔が「美しい」ものであり、盆栽に限らず様々な「役割」を持っていることを知れただけで、十分興味を持つ対象になったのです。
ちなみにこの時にプレゼントとして買ったのは白山査子(シロサンザシ)の盆栽です。樹高は15cmくらいでしたが、それでも樹齢は10年ほど(!)。
苔が気になる日々。
その日をきっかけにインターネットで苔の情報を探したり、道端の苔をちょっと立ち止まって観察するようになりました。
図書館や書店で本も探しましたが、苔を中心に書かれている良い本はなかなか見つけられませんでした。
当時流行っていたあるSNSで苔好きな若者と情報交換をはかるためにコミュニティを立ち上げもしましたが、ほとんど参加もなく盛り上がらずにすぐに閉じました(笑)
同じ年頃の会社の同僚の中にも、苔について熱く語れるような共通の趣味の仲間はいませんでした。
ただ、苔に関する情報が少なく、周囲でもあまり関心を持つものもいない、そんなミステリアスな感じが、ますます私を虜にしていったのです。
ここから先は、他の記事の中で追々触れることにしましょう。
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