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苔庭に貼りゴケしたスギゴケが枯れるのはなぜ!?《後編》

      2015/10/26

 
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「苔庭に貼りゴケしたスギゴケが枯れるのはなぜ!?」の《後編》です

※前編の記事が長すぎたため、都合により分けさせていただいています。
苔庭に貼りゴケしたスギゴケが枯れるのはなぜ!?の続きです。『症状3』と『症状4』についてです。

 枯れの症状別 対処法《後編》

前編はこちら

<症状3> 全面的枯れ広がる(植え付けから1年程度)

貼りゴケしたスギゴケがそれほど成長してないうちに枯れていくのには、様々な要因が考えられますが、大抵は下記の中のどれかだと思います。

①水のやり過ぎ(案外これが多い)
②土壌の水はけが悪い
③貼りゴケした苔シートが土壌から剥がれている
④そもそもスギゴケに合わない環境に植えつけた
⑤貼りゴケした苔シートが成長力に欠けていた
⑥良かれと思って肥料をあげちゃった

対処法)
上記の①②は過湿による蒸れです。水やりを過保護にすると、本来葉を閉じて乾燥に耐えようとしているスギゴケを無理やり開くことになり、日光があたれば葉焼けも起こります。これを繰り返していくといずれ枯れにつながります。水やりのルール(基本朝方の1回、夏場は日の入り後も追加)を守ることと、土壌の水はけを改良することです。

は逆に乾燥によるダメージです。貼りゴケ時の圧着が弱かったか、苔シートの基盤が粘土質だったり、黒土だけだったりすると剥れてしまいます。剥がれた隙間に空気が入り乾燥します。完全に枯れていたら剥がしてしまい、基盤が粘土質ではない苔シートで貼り替えます。
枯れた苔の中に新芽の発芽が確認できるようであれば、貼りゴケし直し、目土を苔高の半分くらいまでしっかり入れて様子をみてください。数週間たってから苔を引っ張ってみて簡単にめくれないようであれば、再生への道を歩み始めたと考えていいでしょう。

はそもそも論的な原因です。スギゴケが育ちやすい環境がベースとしてなかったら、高度な管理のテクニックがない限り弱って当然と言えます。工夫してスギゴケが育ちやすい環境に近づけるか、スギゴケは諦めて他の苔にすることを検討するかになります。
過去記事の「苔の育て方のポイント」をチェックしてみてください。

の中でもさらにいくつかの要因に細分化できるのですが、苔が細くてひ弱だったか、仮根束が発達せず新芽の発芽が極端に少なく衰退していくかのどちらかが多いと思います。
出荷直前まで温室や日のあまり当たらない場所で育ったスギゴケは、茎が細いことがあります。苔と苔の密集度(苔密度)がないため、地表面に日光が届き乾燥し苔自体が弱まりますし、新芽も発芽しにくくなります。
また、スギゴケは原子体や仮根から発芽します。仮根を土壌内で張り巡らせ仮根束を発達させ、新芽を旺盛に発芽させてコロニーを充実させていきます。しかし、畑育ちのものを漉き取った時に仮根を切られてしまっていたり、発芽後1年以内で出荷された苔シートは仮根が未熟で発芽力が弱い状態です。苔を設置した土壌に馴染み、仮根を土壌の中に伸ばして発達し新芽も発芽してきますが、新芽が見られない場合は仮根が育ってない場合があります。

これらの対処法としては、『苔の種』を蒔き(追い蒔き)し、同時に目土を入れることです。『苔の種』から新芽を増やし、コロニーの密度を高めていくとともに、もともと植えつけた苔の繁殖力が弱っている世代から更新を図っていきます。

苔への施肥は肥料焼けの原因になるだけですのでやめましょう。肥料焼けして変色した箇所の中に新芽があれば、放置しておいてもやがて回復するでしょう。(もちろんあげてしまった肥料はきれいに除去してくださいね) 明らかに枯れてしまった場合は、枯れた苔を刈り取って貼りゴケで補修しましょう。範囲がせまければ蒔きゴケして目土入れをしても良いでしょう。

<症状4> 白いカビが生えて枯れる

スギゴケを管理していると、必ずと言っていいほどこの「白いカビ」の問題に直面するのではないでしょうか。まるで蜘蛛の糸のような綿のようなものが、スギゴケの中に発生します。この白いカビと苔の枯れがどう関係しているのか確かなことはわかりませんが、白いカビが発生した箇所が変色して枯れることはしばしばあるようです。放置していても枯れないこともあります。

カビが生える原因は湿度、つまり水のやりすぎか土壌のみずはけの悪さに起因している可能性は十分に考えられますので思い当たる節があれば改善しましょう。

カビが発生したら殺菌剤を撒いて対応します。ベンレートを1000倍に薄めて散布すればたいてい白いカビは消えてなくなります。

<症状5> スギゴケが枯れて倒れる(倒状現象)

苔の植え付けから3年ほど経つと、この「倒状現象」が見られることがあります。文字通り、スギゴケが赤茶色に枯れてなぎ倒されたようになる現象です。

これは自然界でも見られる現象です。スギゴケはコロニーを発達させながら、上へ上へと成長していきます。年間3〜5cmほど伸びると言われる程で、3年ほど経つと10cm以上になる計算になります。
機会があれば見ていただきたいのですが、高さ10cm以上に発達したコロニーのスギゴケを引き抜くと、先の方に緑の葉がついており、根元の方は赤茶色で枯れかかっている感じであることがわかります。これが蒸れによるものなのか、光合成できないからなのか、寿命なのかはっきりわかりませんが、成長したスギゴケはやがて根元から弱っていくということです。コロニーが密であれば苔同士が支え合い、20cm〜30cmのボリュームまでいくこともありますが、支え合うことができなくなったり、コロニーの密度が十分でないと根元から折れて倒れます。これが「倒状現象」のメカニズムではないかと言われています。

対応策としては、まず「刈込み」があります。10cm程度まで伸びたら、思い切って刈込みます。刈り込んででた苔クズはそのままにしておくか、苔の種にして再度撒きます。高さを出さずに景観を維持するのにオススメの方法です。この刈込みを行っていれば倒状現象は起きにくくなると考えています。

いやいや、ボリュームを出したいんだという方は苔の種の「追い蒔き」または「目土入れ」をしてコロニー内に新芽を発芽させます。コロニーが蜜になることで倒れにくくなるでしょう。目土そのものが長く伸びた苔を支える役割もします。

▼苔庭に貼りゴケしたスギゴケが枯れるのはなぜ!?の前編をまだお読みでない方は

「苔庭に貼りゴケしたスギゴケが枯れるのはなぜ!?」へ

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