初心者に優しい苔玉の選び方とは? 育てる難易度ランキングでみる苔玉の種類
2016/04/10
苔が変色する、植物が枯れてしまう、などの状態を一般的には「苔玉が枯れる」と言います。苔は丈夫なので復活させられる可能性は高いですが、植物は一度枯れこむとなかなか回復しません。初心者の方が苔玉を枯らしてしまう主な要因として管理上の問題があることは、前回の記事「苔を枯らしてしまう初心者にありがちな5つの先入観」でお伝えしました。次にそもそも論の話に戻して、苔玉によっては初心者に不向きなものもあるため、どういう苔玉を選べばいいか育てる難易度の優しい順にご紹介していきたいと思います。
まずは育てる難易度の低いものからチャレンジしましょう
以下に、苔玉を育てる難易度に5段階で「★」をつけた苔玉の種類を挙げさせていただきます。「★」が少ないほど難易度が低く、初心者の方におすすめですのでご自身のレベルに合ったものから取り入れてみましょう。
※難易度評価は私の独断です。
難易度 ★☆☆☆☆
『苔のみの苔玉』
今流通している苔玉は、植物の根鉢の周りに苔を貼ったものが主流ですが、手始めに苔単体の苔玉を育てることにチャレンジしてみましょう。おそらく苔玉初心者の方は、苔そのものを育てること自体が初めてという方が多いはず。まずは苔のみで作られた苔玉を育てることで、苔の管理に集中できます。
育ててみてわかる苔のデリケートさ
おそらく、苔に焦点を絞って育てても、高確率で苔を変色させてしまうでしょう。苔は非常に環境に敏感なのですぐにサインを出します。それが今後様々な苔玉を育てる上で良い勉強になり、経験になります。
変色しても安心してください。苔はそう簡単に枯れて完全に死んでしまうことはありません。水やりを多くし過ぎてないか?適度に日光にあてているか?新鮮な空気に触れさせているか?など冷静に振り返って管理場所や水やりの方法を変えてみてください。きちんと向き合ってあげれば苔は応えてくれます。
まずは育てやすい苔を選ぶこと
苔の種類はハイゴケかハネヒツジゴケでがオススメです。丈夫ですし、管理に多少の荒っぽさがあっても育てられます。スナゴケも悪くはないですが、よく日が当たるところに置き場所が限定されてくるため、水やりによる蒸れなどを起こしやすいので一旦候補から外してください。山苔も水やりの加減が難しいので最初は候補から外しましょう。
苔の種類の見分けがつかない方は、購入時に店員さんに「この苔はなんですか?」と率直に聞いてみたら良いと思います。それにすら答えられない販売店は苔のことをよくわかっておらず、苔も自然のものを採取したものを使っていたりするので購入を見送りましょう。自然採りのものは、適切な処理がされていないと雑菌や虫、土がついていたり、何より人工栽培のものより環境の変化に反応しやすい可能性があるからです。
難易度 ★★☆☆☆
玉の部分と植える植物が分離した構造の苔玉
一般的に知られている苔玉は、植物の根元まですっぽり苔にくるまれているものがほとんどです。これとは別に、玉は玉で作成され、設けられた窪みに植物を植え付けるタイプのものがあります。
個人的には、この構造が植物(苔玉)を長く育てて楽しむのに非常に理にかなっているものだと思っています。
このタイプの完成品または玉の部分のみの商品が、ホームセンターなどでも売っているところは売っていますので探してみてください。
▼「自分の手で作りたい!」という方のために、作り方も紹介しています。
→【初心者にやさしい】 苔と植物を分けて育てられる苔玉の作り方
植物と苔を別々に育てる安心
最大のメリットは、植える植物と玉に貼ってある苔の管理を分けて考えることができることです。苔だけに水をあげたい時は霧吹きを使い、植物だけに水をあげたい時は植物の根元周辺に小さなジョーロなどで水やりをする、また両方に一度に水をあげたい時は全体にジョーロで水をかけてあげることができます。水やりの分け方だけならほとんどの苔玉でもできるかもしれませんが、施肥も植物だけに限定できます。一般の苔玉は、植えてある植物の根元に用土が見えないほど苔でくるまれてしまっているため固形の緩効性肥料などをあげることができません。
基本液肥で対応する形になりますが、肥料分は苔に肥料焼けなどの影響を与えてしまいますので液肥を倍以上薄めることになります。これでは植物に肥料をあげたいのかあげたくないのかよくわかりません。液肥は速効性で効果がすぐきれるタイプの肥料のため、植物の生長期にはたびたびあげる必要が出てきます。薄めているからなおさらですね。もちろん肥料をかけている以上少なからず苔に影響が出ます。
植物の根元に固形の緩効性肥料を仕込めるこのタイプの苔玉なら、施肥も適切かつ楽になりますし、苔への影響もそれほど気にする必要がなくなります。
苔玉を壊さず、植物の植え替えが可能です。完全にくるまれた苔玉で植え替えをするということは、苔玉を解体して作り直すことを意味します。もったいない。。
▼「玉」と「植物」を分けた苔玉の一例です(苔技術協会さんHPより引用させていただきました)
難易度 ★★★☆☆
同居植物は観葉植物を選ぶ
おしゃれ感や四季を感じるために、山野草や梅、紅葉などを使った苔玉が多いですが、それらは庭植えや花壇植えなど屋外で育てる向きの植物であり、また梅や紅葉などは本来何メートルもの高さに育つ庭木なので剪定や施肥など盆栽に通ずる知識がきちんとないと長くは楽しめないでしょう。
観葉植物は室内でも育てやすい
観葉植物として鉢で売られている種類の多くは、屋内管理を想定されています。耐陰性のある葉ものが多く花ものは少ないのですがのが、苔玉をインテリアとして飾りたいというニーズに寄った植物と言えます。
もちろん、耐陰性があるとは言っても植物である以上少なからず日光は必要なので、暗い廊下やトイレに置きっぱなしにすることはできません。
既に育てた経験のある観葉植物だとなお良いかもしれません。もともと大型のものを苔玉にするのは難しいですが、大型になるものもミニ観葉植物としてホームセンターや100均などでも売られてますので探してみると良いと思います。
苔玉におすすめの観葉植物オススメ10選
オススメの観葉植物を例として挙げておきますので参考にしてみてください。いずれも半日陰を好む種類なので、ハイゴケ・ハネヒツジゴケとも相性が良いものです。
プテリス / ポトス / アジアンタム / アイビー / シュロチク / カンノンチク / アスパラガス / ドラセナ / アレカヤシ / シンゴニューム
→私はよく日本花卉ガーデンセンターさんで植物を探します。
日本最大級のガーデニング・園芸サイト:日本花卉ガーデンセンター
→おしゃれな観葉植物の品揃えの多さはやっぱりブルーミングスケープさんですね。
難易度★★★★☆
形づくりにケト土を使っていない苔玉
苔玉が流行り出した当初は、植物の根鉢の周りをケト土でくるんで丸く形を整え、その周りを生苔でさらにくるむタイプの苔玉が主流でした。いや、今でもこのタイプが最も多いのかもしれません。
ケト土がよく使われるのは、粘性があるため形を整えやすいからです。苔玉の製造元や園芸店苔が量産したり、子どもでも簡単に作れるので苔玉教室などでもケト土がよく素材として使われます。
ケト土が招く思わぬ失敗
ケト土を使っているからと言って悪いわけではないのですが、管理がどうしても荒くなりがちな方にはあまりオススメしません。なぜなら、ケト土は乾燥するとカチコチに固まって保水性と水はけが著しく低下してしまう性質があります。それに気づかずに水やりすると、植物の根まで水分が行き届かなかったり、逆に根鉢内に水が溜まって根腐れを起こしてしまったりします。
そういう予期せぬ失敗をしないために、ケト土を使っていない苔玉をオススメします。
ケト土を使っていない苔玉とは?
ケト土を使っていない苔玉とは、一般的にはケト土の代わりにミズゴケや布地のもので根鉢をくるんで形を整えているものです。保水性や排水性が適度にあり、その性質が基本的には変わらないものが良いと思います。外観からはわからないので、これも販売店の店員さんに聞いてみると良いと思います。
過去の記事「よく知られている苔玉のつくり方〜基本編」でも紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
ちなみに、私は「キムタオル」という業務用ウェスを使って苔玉を作ることをおすすめしています!
→ミズゴケの代わりに“業務用ウェス”を使った苔玉の作り方
難易度★★★★★
寄せ植え苔玉
これまでお話しした内容をご理解いただけていれば、寄せ植えされた苔玉がいかに難易度が高いかおわかりいただけることと思います。
1種類でも何かと気を遣わなければならないのに、もっとたくさんの植物を相手にするとなると管理はとても複雑になります。作成者が植栽の知識があり、好む環境(日照条件、水やり頻度、耐寒性/耐暑性など)が近しいもので構成してくれれば幾分管理はしやすくなるとは思いますが、それでも剪定などのメンテナンスのことも含めて考えると初心者にはオススメできません。
寄せ植えはゴージャスでインテリアとしても見栄えがするものですが、ここは我慢してまずは1種類でもきちんと長持ちさせられるようになりましょう。
枯れない苔玉というものもありますよ!
苔玉を贈り物にするなら、枯れない苔玉『ブリザーブドフラワー苔玉』というのもいいのではないでしょうか。送った相手に管理の負担を強いることもなく、完全にインテリアとしての苔玉の雰囲気を楽しんでいただけますよ。
▼フラワースタジオ FARBEさんの「ブリザーブドフラワー koke庭」(楽天市場)
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